1.「年俸制(又は残業代込の給料)だから残業代が無い」のか?

管理監督者でない限り、原則として残業代が無いということはありません。

いわゆる「残業代」とは、労働基準法のいう時間外労働に対する割増賃金のことを言います。

時間外労働をさせると、使用者は割増賃金を払わなければなりません。

  • 第三十七条  使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

これらの規定が適用されない場合(適用除外)とは、下記のとおり、労働基準法に挙げられた場合だけです。

  • 第四十一条  この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない
    一  別表第一第六号(林業を除く。)又は第七号に掲げる事業に従事する者
    二  事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
    三  監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの

要するに、一部の特殊な事業や職種に従事する者を除くと、管理監督者だけが労働時間に関する労働基準法の適用除外となります。

したがって、年俸制であっても、残業代込の給料であっても、時間外労働に対する割増賃金は支払わなければいけません。

2.年俸制でも残業代を請求できるのか?

できます。ただし、できる限りの証拠を揃える必要があります。

以下のような、労働時間に関する記録を用いて時間外労働の合計時間数を計算すれば、法律的に請求が可能です。全てを揃える必要はなく、請求したい範囲の労働時間をカバーしていればよく、カバーしていない範囲でも他の証拠から論理的に推認することも法律上は認められます。

  • タイムカード・業務日誌のコピー
  • 勤務予定(又はシフト)表のコピー
  • IC型定期券の乗車記録を印字したもの
  • パソコンの起動・終了時刻データ
  • 残業代に関連するメール

「法律的に請求が可能」とは、最終的に裁判所に持ち込めば判決が出されて、その判決は強制執行が可能と言うことです。「いざとなれば払わなければいけない」ということがわかれば、争うより余計な費用をかけずに早く払った方が良いと考える使用者も多く存在します。

この他に、賃金の1時間あたりの単価を計算する必要があるため、1年間の休日や所定労働時間に関する規定も必要です。もっとも、充分な証拠が揃わない場合でも、収集できる範囲の証拠できちんと主張できる可能性もありますので、お早めに弁護士に相談してください。